不妊カップルに光を! 卵子提供ドナーについて知ろう

卵子提供を受けた場合の日本における法的な親子関係は?

実母とは誰かという疑問について東京大学生命・医療倫理教育研究センターより発刊されている刊行誌CBELでは、堂囿俊彦氏は代理出産の日本における法規定と、昨今の解釈について論じた文章が掲載されております。掲載HPは下記です。


http://cbel.jp/modules/pico/2004062.html


日本では子供の親は卵子提供ドナーなのか?それとも出産者なのか?もしくは代理母?

 

堂囿俊彦氏は刊行誌CLEBにおいて、2015年に出された法制審議会生殖補助医療関連親子法制部会の「精子・卵子・胚の提供等により出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する要綱中間試案」の、分娩者を実母とする考え方について一つの提言をしております。
つまり、法制審議会生殖補助医療関連親子法制部会の考え方においては、下記の3つの大きな理由により、分娩者を実母とする考えを支持しております。


1.母子関係の発生を出産の外形的事実より、母子間の法律関係を客観的基準から明確に決定することができる。
2.この考え方によれば、自然懐胎の事例の母子関係と同様の要件から母子関係を決することが可能となるため、母子関係の決定においては、生殖補助医療により出生した子及び自然懐胎による子を同様に取り扱うことが可能である。
3.女性が子を懐胎し出産する過程では、女性が出生する子に対する母性を育むことが指摘の一つとなっており、「子の福祉」の観点より、出産した女性について母とすることに合理性が生ずる。


ただし日本の民法での母の規定は、779条の「嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる」という規定が挙げられており、そうなると代理出産による子が婚姻中の夫婦の間に生まれる子ではない、つまり非嫡出子であるという以上、認知で母子関係を確定することになるという解釈ができます。ところが実際には、この認知手続きは認められていないといえると堂囿氏は訴えており、その理由として1962年の最高裁判決では、「母と非嫡出子間の親子関係は、原則として、母の認知をまたず、分娩の事実により当然発生する」とされて、法務省はこの判決をもとに代理出産を依頼した女性を「実母」とする出生届けを不受理としていることから分かると述べております。


法的に母が誰かを規定するにあたり、堂囿氏は「子の福祉」をどのように考えるかにかかっていると刊行誌CLEBでは述べております。つまり前に述べている法制審議会生殖補助医療関連親子法制部会の考え方1~3であれば、代理出産を依頼した女性でも法整備により十分配慮できる内容であるから「子の福祉」は守られているものとして、法的に母と認定できるとの反論もあるだろうとしています。


堂囿氏としては、「子の福祉」をもう一歩突き詰めて考える、つまり「親子関係の継続性」という要素を考慮することにより、子の福祉からみると、親子関係の変化は目まぐるしく存在することは望ましくないとしていて、そして妊娠期間を通じ、代理「母」とおなかの「子」と親子関係が成り立っていると考えられるとしたら、出産直後に依頼者へその子を引き渡すことは、「子の福祉」に反するものであり、妊娠も「育児」の一つであるため、だからこそ代理母は「実母」といえるのではという考えを持っております。


こういったいったい誰が法的な親であるかといった親子関係については、法律が確立していない日本では、ケースバイケースで法廷で争われてきている経緯があります。このような法の未整備状態も、卵子提供による不妊治療が確立しない一因になっているともいえるでしょう。